EBPTとは
皆さんは「EBPT」という言葉を聞いたことがありますか? あるいは「EBM」ならどうでしょうか。「EBM」とは「Evidence based Medicine(科学的根拠に基づいた医療)」のことです。つまり、研究など科学的に証明されている根拠に基づいて治療をしましょうということ。
例えば風邪をひいて病院に行き、お医者さんから薬をもらっても「効果があるかないかわからないけど、とりあえず飲んでみて」というのでは困りますよね(笑)。しかし、「この薬のこの成分が、風邪のこの症状に効果があるので飲んでください」と言われたなら納得できると思います。
つまりこれは、「薬の効果が風邪の症状に効果があることが科学的に証明されている」ということです。
同じように「EBPT」は「科学的根拠に基づいた理学療法」といわれています。理学療法は何となく行われるのではなく、科学的根拠に基づいて行う必要があります。
理学療法の分野でも、多くのことが科学的に証明されています。例えばどのくらいの負荷(強度)で、何回くらい筋力トレーニングをすると筋力がつくのか。または、どの程度の有酸素運動をすると持久力がつくのかなどです。リハビリの養成校では、このようなことを勉強します。
以上のように、エビデンス(科学的根拠)は研究によって明らかになります。しかし専門学校では研究について教えてくれなかったという方や、「エビデンスについては勉強したような…してないような…」という方のために、今回はEBPTについて改めて書いてみようと思います。
あなたのリハビリは科学的? それとも自然治癒?
このようなことを書いては失礼かもしれませんが、あなたの提供している理学療法は本当に患者さんの機能回復や動作改善、生活の改善に貢献しているのでしょうか。
急性期病院に勤務していると、患者さんの自然回復・自然治癒力での回復や薬、治療による症状の改善によって患者さんが動けるようになっていくことを実感します。
わかりやすい例を挙げてみましょう。手術直後は痛みで動けなかった患者さんが、手術から日数が経つほど傷口の痛みも和らぎ、自然と動きがよくなってきます。理学療法士はそこに理学療法を提供することで、さらに早期の退院を可能としたり、よりよい機能回復や生活改善に貢献できることが重要です。
理学療法を提供してもしなくても、患者さんの退院の時期や機能回復が同じであれば、理学療法は必要がないことになってしまします。
このときに大切なことは、エビデンスに基づいて治療しているかどうかです。
「○○の患者さんに△△の治療をすると、□□と比べて××が効果的である」。
このようなエビデンスがあったとしたら、□□の治療より△△の治療をした方が効果が高いということですよね。
例えば、
「脳卒中の発症直後から早期座位・立位・歩行訓練は、何もしない人より歩行能力が高くなる」
このようなエビデンスが出ています。
これに基づいて脳卒中の患者に早期に起立歩行訓練をやることがEBPTになるわけです。
あなたが毎日患者さんに実施している理学療法には、科学的な根拠がありますか?
EBPTを実施できているでしょうか。
エビデンスはどのように確認したらいい?
エビデンスに基づいて理学療法をすることの重要性を理解したところで、実際にエビデンスを知るにはどうしたらいいのでしょうか。
「自分で研究してみる!」というのもいいでしょうが、なかなか大変ですよね。
エビデンスを調べるのに一番早いのは診療ガイドラインを見ることでしょう。各疾患の学会などから、様々な疾患の診療ガイドラインが出ています。ガイドラインとは治療の指針を示すもので、様々な研究論文に基づいて記載されているため、1つ1つの論文を読むよりわかりやすいでしょう。
基本的には、各学会や出版社などから出版しているため、手に入れる必要があります。